ボードゲーム「Skull&Roses(髑髏と薔薇)」

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基本情報

  • Skull&Roses(髑髏と薔薇)※2019年現在の新版は「Skull」
  • Hervé Marly
  • 3-6人
  • 45分
  • 2011年
  • 言語依存なし

ゲームの概要

「Skull&Roses(髑髏と薔薇)」は、一時期(現在も)ヤフオクなどで価格が高騰しているブラフ&チキンゲームで、現在は「Skull」の名前で再販されているが、初版は2011年。絵柄の違う黒箱と赤箱バージョンがあり、プレイ人数は3-6人だが、黒と赤の両方をあわせれば12人までプレイできる。新版も加えたら、18人までできる(のだと思う)。

Skull&Roses(黒箱)の絵柄

Skull&Roses(黒箱)のコースター絵柄。設定では各暴走族の縄張り争いのため、それらしいチーム名がついているが、右下の絵柄はミラーズホロウの人狼のパケ絵だ。

コースターの構成は薔薇が3枚、髑髏が1枚

各コースターの裏には薔薇が3枚と髑髏が1枚描かれている

ゲームのバックストーリーは暴走族同士の対立をチキンゲームでケリをつける、というもので、ルールブックの最後には一見無駄な用語解説がついている。が、こうしたフレーバーを楽しむことができれば、このゲームはさらに面白くなるだろう。フレーバーがなくても面白いが。

各プレイヤーは最初4枚のコースターを持っていて、裏に薔薇と髑髏の絵柄が描かれている。内訳は薔薇が3枚、髑髏が1枚。プレイヤーができることは以下の2つ。

  1. 所持しているコースターを1枚、自分の前に伏せて置く
  2. チャレンジ宣言をする

1の場合は次のプレイヤーの番になり、再び1か2のいずれかを行う。2が行われない限り、ずっと1を繰り返すので、誰も2をしなければ2週、3週と順番がめぐることになる。その場合は、先ほど置いたコースターの上に重ねて置くようにする(重要)。

コースターを置いていく

チャレンジ宣言されるまでは、コースターを重ねて置いていく

2の場合は、コースターを置かずに、「枚数」を宣言する。宣言した枚数は、場に出されているコースターをめくる枚数だ。例えば場に全部で8枚のコースターが出ていて、「3枚でチャレンジ」と宣言したのであれば、8枚のうち、おれは3枚めくるぜ、ということだ。
チャレンジ宣言がなされたら、次のプレイヤーはそれを上回る枚数を宣言するか、勝負を降りる(ハードパス)かを選択する。こうして1人以外の全員が勝負を降りたら、一番多い枚数を宣言したプレイヤーが今回のチャレンジャーとなる。

コースターをめくるルールは2つ。必ず上に置かれたコースターからめくらなければいけないということと、チャレンジャーはまず自分のコースターから1枚をめくらなければならないということ(重要)。

チャレンジャーはこのルールに則ってコースターをめくり、髑髏のコースターをめくることなくチャレンジ枚数をめくりきったら、チャレンジ成功となる。チャレンジ2回成功でゲームに勝利。めくったコースターが髑髏であれば、その時点でチャレンジは失敗となり、ペナルティとして手持ちのコースター1枚をランダムにゲームから除外する。どのコースターが除外されたのかはバレないようにする。コースターの選択肢が狭まるので、このペナルティは結構きつい。

チャレンジ成功例

左のプレイヤーのチャレンジ成功例(今回は5枚)。

チャレンジ失敗例

下のプレイヤーのチャレンジ失敗例(このときは7枚チャレンジ)。右プレイヤーの上から2枚目が髑髏だった。ちなみに自分の2枚目をめくっていないのは、2枚目が髑髏だからである。

ゲームのルールはこれだけだ。だが、コースターをめくるたった2つのルールが、このゲームをブラフゲームの名作たらしめている。

どういうことか。

このゲームは、自らがチャレンジャーとなってチャレンジを成功させなければ勝てないゲームなのだが、他プレイヤーのチャレンジを失敗させることでも勝利に近づくことができる。なぜなら、チャレンジ失敗によるペナルティはコースターを1枚破棄させるという、相手の選択の幅を大きく狭めるものだからだ。相手の髑髏のコースターを破棄することができれば、髑髏という地雷を仕込むことができないので、著しく不利な状況となる。

一番上に置かれている自分のコースターが髑髏であれば、他のプレイヤーがチャレンジャーとなった場合には最高のシチュエーションとなる。自分のコースターがめくられた瞬間にチャレンジが失敗するからだ。

ところが、これが裏目にでることもある。自分はチャレンジをするつもりがなく、しかしチャレンジ枚数を釣り上げるためにチャレンジに参加したら、他のプレイヤーが下りてしまい、自分がチャレンジャーとなってしまった場合だ。チャレンジャーは、まず自分のコースターを1枚めくらなければならない。そのカードが髑髏であれば、当然ペナルティだ。「もともとチャレンジするつもりもないのにチャレンジ枚数を釣り上げたクソ野郎」ということになる。ただしこの場合、破棄するコースターは自分で選んでよい。

コースターの一番上から順番にめくらなければならないのは、単純にめくり運で勝負が決してしまわないようにするためであり、またそうした縛りがあるからこそ、コースターを置くときの計算、心理戦が行われる。ゲームが終わったらぜひ感想戦を楽しんでほしい。

チャレンジ2回成功で勝利。四角いコースターの面でチャレンジ成功数を表す。

2回チャレンジを成功させれば勝利。最初は全員Skullの面を上にし、チャレンジが成功したらRosesの面を上にする。その状態でチャレンジ成功すれば勝利

テーマの好き好きはあるかもしれないが、単純明快、濃密な心理戦は、プレイしていても楽しい。「人間観察が趣味です」とかうそぶく野郎に一泡吹かせてやるには最適だ。

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