書籍特集「芋づる式書籍収穫祭 その2」

前回の続き。5連鎖目から再開である。

5連鎖目(じゅげむ):自然景観の謎(ロバート・ヤーハム 著、武田裕子 訳、産調出版)

自然景観がどのように形成されるのかを手描きイラストで開設した本。読みたくなる「地図」で地図の変遷を見た時に、そもそも地形の成り立ちはどうなのか、という疑問が湧いたことから購入。
川の浸食による谷、扇状地三日月湖、三角州の形成や、波の浸食、砂州砂嘴等の河口地形などは、小中学校で使っていた地図帳の資料部分に解説されていたのでなんとなくは覚えていたが、本書はより広範な地形の形成について解説をしている。とはいえ、著者がイギリス人で、例示されている地名がイギリスよりになっているところがやや残念。
とはいえ、地形の成り立ちを広範に把握するには申し分なく、改めて地形図を眺めた場合に、少し違った見え方をした(気がする)。

6連鎖目(ばよえ~ん):読みたくなる「地図」国土編:日本の国土はどう変わったか(平岡昭利 編、海青社)

読みたくなる「地図」の第三弾。東日本、西日本を問わず、全国の特徴ある地域がピックアップされている。東日本編、西日本編を見た後、いくつか書籍を挟み、いくらか知識が増した上で読んだため、より新旧地形図の比較においてその背景のイメージが豊かになった。
ここまでくると、かつての宿場町とか主要な城下町をテーマとしてシリーズ化してほしい。

7連鎖目(ばよえ~ん):地形図を読む技術 新装版(山岡光治 著、SBクリエイティブ

ここまで数多くの地形図が載っている本を読んできたので、ここらで基本をおさらいしようと思って読んだ。長きにわたって測量、作図を行ってきた著者らしい見解が展開される。地形図から景観を想像していくわけだが、特徴的なのは、掲載されている地形図の場所を著者が“知らない”ということ。純粋に地形図だけでその場所はこうなっているのではないか、ということを想像しながら読むのだ。答えを知らないからこそ、著者の読図による説得力が生きてくる。

8連鎖目(ばよえ~ん):地形と立地から読み解く「戦国の城」(萩原さちこ 著、マイナビ出版

読みたくなる「地図」を読み始めたころから疑問となっていた、主要都市には城がある、ということをより深く理解するために買った。が、結論から言うと、この本はその求めにダイレクトな回答を与えるものではなかった。というのも、採り上げられている「城」は、世間一般がイメージする天守を備えた「城」ではなく、野戦陣地をも含めた「城」がほとんどであったからだ。ただ、「外れ本」では決してなく、非常に読みやすくて良い本であった。主要な街道を眼下に見下ろす位置に建っていた山城や、行政のシンボルとしての城等が紹介され、城めぐりがしたくなるような気分にさせられる。一説によれば「城」は日本に40000ほどもあったそうだ。探せば近場に城跡がきっとある。我が家のそばにも1つ、北条氏の支城跡があったが、私有地のために立入禁止であった。

 

今回の書籍大連鎖は、きっかけこそamazonのレコメンドという誰かに与えられたものであったが、その後の展開は極めて能動的な読書の結果である。実はこの連鎖、まだ続きそうな予感がある。しかし、ゴダイゴも歌っているように書籍ジャーニーに終わりはないので(歌ってない)、ひとまずここで区切りとしよう。