ボードゲームの雑感「マーダーミステリーがはやるミステリー」

ご他聞に漏れず、ボードゲームのメカニクスやジャンルには流行り廃りがある。世界のボードゲームマーケットでもあるが、日本の同人ゲーム界隈では特に顕著である。少し前は人狼と大喜利ゲーム(コミュニケーション系ゲーム)ばかりだった。人狼も大喜利もゲ…

ボードゲーム和訳「Dragonkeepers(Drachenhüter、ドラゴンキーパー、ドラゴンの守り人)」

2023年のエッセンで発表されたボードゲームで、思わず「おや?」と思ったゲームがあった。日本語の情報サイトでは、エッセンで発表されたゲームの紹介は重いゲームに偏るような印象がある。そんな中でカード主体で、プレイ中の写真がひときわ目を引くゲーム…

ボードゲームの雑感「イーオンズエンドレガシーを終わらせた」

本サイトの新年1発目の記事である。が、この段階ですでに1月も半分以上過ぎていることに驚きを禁じえない。ちなみに年内最後の記事投稿や年明け1発目の投稿の場合、凡百のボードゲームサイトはたいてい「今年(昨年)遊んだ振り返り」だの「今年(昨年)…

ボードゲームの雑感「初めてのレガシー(ネタバレなし。そもそも読む価値があるかも怪しい)」

当ブログの更新が滞っている中、パレスチナが大変なことになっていたり、ジャニーズがマック赤坂の政党みたいな社名になっていたり、豪華絢爛でバラ色の外面を演出していた宝塚が、実は安達ケ原の鬼婆ばりの恐怖が支配する黒塚状態であったりと、おっさんに…

ボードゲーム和訳「Futschikato(フッチカート)」

最近は大人数に対応しているボードゲームがめっきり減り、パーティー向けの大喜利ゲームや人狼系を除くとほとんどなくなってしまった。そんな中、おれのお勧めしているボードゲーム紹介サイトであるThe Board Game Laboratory - Rebooted!!でも採り上げられ…

Crossing oceansがようやくoceansをcrossingしてきた

長かった。 ブログの更新が手につかないほどに長かった(誇張あり)。 すでにモノを手に入れたボードゲームの愛好家のプレイログを歯噛みしながら見ていたが、ついに海を渡って到着したのだった。 残像ではない。 … …… ………2セット。 説明しよう。プレオーダ…

ボードゲームの雑感「ヤフオクのとあるボードゲーム出品の話」

前回の記事からずいぶん間が空いてしまった(ここまでテンプレ)。まあ立て続けにルール和訳をアップした反動だと思っていただければ良い。中には「もうこいつはブログを書くことを辞めたのでは」「STAP細胞を探しにいったままパティシエになってしまったの…

ボードゲーム和訳「Gravwell 2nd Edition(グラブウェル第2版)」

和訳神のブログで紹介されていて、面白そうだと思ったのですぐに海外サイトから取り寄せた、「ピラニアペドロ」みたいな同時プロットのレースゲームだ。他のプレイヤーの行動が次のプレイヤーの行動を否応なしに決定してしまい、わーわーきゃーきゃー言うゲ…

ボードゲーム和訳「Battle Line:Medieval(バトルライン:中世版)」

バトルラインと言えばくにちーの2人用ゲームとして傑作の呼び声も高いタイトルで、もちろんすでに日本語版が作成されて広く流通しているため、いまさらこの場で詳しい紹介は不要だろう。このバトルラインだが、もともとのゲームではテーマがアレクサンドロ…

ボードゲーム和訳「Northern Pacific(ノーザンパシフィック鉄道)」

おれは開拓モノが好きだ。そういった意味では、当ブログでも再三言及しているように、大航海時代が好きなのは未知の海(もちろんヨーロッパの観点で、だ。ああもうポリティカルコレクトネスめんどくせえ)に対して貧弱な装備で挑み、認識されている"世界”を…

ボードゲーム和訳「Paris Connection(パリス・コネクション)」

「フランスの『パリ』ってよォ…英語では『パリスParis』って言うんだが、みんなはフランス語どおり『パリ』って発音して呼ぶ。でも『ヴェネツィア』はみんな『ベニス』って英語で呼ぶんだよォ~~。『ベニスの商人』とか『ベニスに死す』とかよォ~。なんで…

ボードゲーム和訳「Crossing Oceans(Transatlantic II)」

ついにゲルツ先生の「Crossing Oceans(旧題:Transatlantic II)」のルールが公式ページとBGGで公開されたので、仕事そっちのけで和訳。BGGのファイルはPDFからうまくテキストや画像要素が抽出できなかったので、和訳のベースは公式ページのファイルを使用…

ボードゲームの雑感「π(パイ)について」

前回の記事からずいぶん間が空いてしまった。まあこれはよくあることなので気にしない。さて今回のテーマはπである。本webサイトではたびたびデータ処理やら統計的な話題を扱っているので、「円周率かー、確か今は3なんだよね?」と連想するかもしれないが、…

ボードゲームの雑感「とある書籍をめぐる騒動とデータ処理の基礎」

本当に面白いボードゲームと称した書籍に載ったゲームの評価について、SNSまわりでガヤガヤしていたらしい。おれはトゥイッターをやっていないので、リアルタイムでピーチクパーチクつぶやかれていた意見を見ていたわけではないし、また件の書籍を読んだわけ…

ボードゲームの雑感「ゲルツ先生の新作(リメイク)、今年は来るかな?」

(しばらく飛田展男の声でお楽しみください。) 諸君、私はマック・ゲルツが好きだ。 諸君私は、マック・ゲルツが好きだ。 諸君、私はマック・ゲルツが大好きだ。

ボードゲーム雑感「ONO99の再販(?)について」

一瞬、自分が未来からきた人間なのではないかという錯覚を覚えた。何がそうさせたかと言うと、この記事を見たからだ。

ボードゲーム「Potato Man(ポテトマン)」

※ボードゲームに関する評価のポリシーについてはこちらを参照のこと。 基本情報 Potato Man(ポテトマン) Günter Burkhardt,Wolfgang A. Lehmann 2人~5人(だが、ゲームシステム上、4、5人じゃないと…) 40分 2013年 言語依存なし ゲームの概要 トリックテ…

ボードゲーム「Carcassonne: New World(カルカソンヌ:新大陸)」

※ボードゲームに関する評価のポリシーについてはこちらを参照のこと。 基本情報 Carcassonne: New World(カルカソンヌ:新大陸) Klaus-Jürgen Wrede 2人~5人 45分 2008年 言語依存なし ゲームの概要 カルカソンヌの独立拡張の1つで、テーマは新大陸への…

ボードゲームの雑感「カネの話再び(番外編)」

前回、前々回はボードゲームで使われている貨幣を考察した。今回はその第3段というわけではなく、ただの蛇足だ。前述の記事は、ボードゲームに絡めて、いわゆるアンティークコインについて説明するものだった。そこでおれ個人のアンティークコインの楽しみ…

ボードゲームの雑感「カネの話再び(その2)」

今回は前回の続きでボードゲームに使われているカネについての話である。未見の場合はまずはそちらをご覧いただければ幸いである。

ボードゲームの雑感「カネの話再び(その1)」

以前、お金の教育についてボードゲームと絡めて記事を書いたが(その1、その2、その3)、今回はボードゲームに使われているカネについての話である。と言っても「あなたはボードゲームに毎月いくらお金を使いますか?」という類の話ではなく、ボードゲー…

ボードゲームの雑感「作者の思想・信条・パーソナリティと作品について」

すぎやまこういちが亡くなったが、ドラクエの曲が東京五輪の開会式に使用されたことについて一部で批判があった。すぎやまこういちはその筋では有名な、いわゆる右翼的思想の持ち主で、また過去に反LGBT的なコメントをしていたためにそれが持ち出され、五輪…

ボードゲームの雑感「宝石の煌めきの貴族たち(2)」

前回に引き続き、宝石の煌めきの貴族タイルの人物を特定し、その略歴を述べていこう。前回は男性ばかり5名だったが、今回は残りの5名、すべて女性である。男性に比べて本人特定が困難で、いまだに確信がもてない人物も含まれていることは事前に了承された…

ボードゲームの雑感「宝石の煌めきの貴族たち(1)」

対応プレイ人数の関係で避けていた宝石の煌めきをようやく購入して早速プレイした。短時間で収束するゲームで感触は悪くなかったが、ゲームの世界観をそれなりに重視するおれとしては、ゲームのメインである貴族タイルに目が向いた。世界史好きで、塩野七生…

ボードゲームの雑感「トライオミノスの思ひ出」

なんとも懐かしいゲームが日本語版で登場するというニュースを見た。 www.dreamblossom.jp サムネになっているシークエンスも懐かしいが、なんと言ってもトリオミノスである。かつてあったシュウクリエイションという会社が、携帯できるゲームとしてポケッタ…

ゲームの雑感「“名作RPG”に関する5chの掲示板からの考察2 ゲーム性と世界観、自由度のはなし」

ファンタジーやSFといったジャンルの小説のみならず、ボードゲームやテレビゲームにおいて、世界観の描写というものは外すことのできない要素のひとつと言うことができる。アブストラクトゲームの中には純粋に世界観のないもの(チェッカーやヘックスなど)…

雑感「オリンピックにおける金をとりたい人々」

タイトルを「キンをとりたい人々」と読んで、「ああ、アスリートの大多数はそうでしょうよ」と思った人は一般的な感性の持ち主である。一方で「カネをとりたい人々」と読んだ人は人間的に少し問題のある感性の持ち主である可能性がある。もちろんおれは後者…

ゲームの雑感「“名作RPG”に関する5chスレからの考察1 名作とは何か」

ゲームに限らず何らかの創作物の評価について常につきまとうのは名作、駄作といった論争である。もちろんその論争の土台にすらあがらないものも無数に存在するのだが、知名度が高いものであればあるほど、そうした論争の的にさらされる可能性は高まる。今回…

気まぐれゲーム記録「ファミコン版ドラクエ3 最小必須アイテム縛り ~完~」

前回はバラモス討伐とそれに付随して起きた悲しい出来事についてレポートした。最終回の今回は一気にゾーマ打倒といくつかの検証について行った。前回までの内容は下記リンクを参照されたい。 cteam.hatenablog.com cteam.hatenablog.com cteam.hatenablog.c…

気まぐれゲーム記録「ファミコン版ドラクエ3 最小必須アイテム縛り ~3~」

前回の冒頭で触れた衝撃の事実が判明する今回はバラモス討伐までをレポートする。本縛りプレイの概要とこれまでの内容については下記リンクを参照されたい。 cteam.hatenablog.com cteam.hatenablog.com cteam.hatenablog.com