ボードゲーム和訳「Battle Line:Medieval(バトルライン:中世版)」

バトルラインと言えばくにちーの2人用ゲームとして傑作の呼び声も高いタイトルで、もちろんすでに日本語版が作成されて広く流通しているため、いまさらこの場で詳しい紹介は不要だろう。このバトルラインだが、もともとのゲームではテーマがアレクサンドロスとダリウス、つまり古代ギリシャの末期におけるマケドニアとペルシアの戦いであり、カードのデザインもまたその時代を意識したものであった。そのテーマを中世版に移行したものが、このバトルライン:中世版である。モチーフとなっているのは英仏百年戦争時代で、アレクサンドロスとダリウスの代わりにイングランド*1とフランス王*2が登場している。それにあわせてカードのイラストがとても美麗なものに(そして結果として視認性が犠牲に)なっている。

追加要素としては、オリジナルが9つの戦場を表すのにフラッグ(コマ)を使っていたのに対し、このバージョンでは戦場カードとなっている点と、ヴァリアントルールではこの戦場カードによって各戦場で特殊な効果が発生する点、テーマにあわせた百年戦争というヴァリアントが存在する点だ。

このバージョンはアーチゲームズから日本語ルール添付、さらに製品内で欠落していたヴァリアントルールの説明も追加された状態で発売されていた(現在は絶版と思われる)。海外では普通に手に入るっぽいが、国内では転売ヤーという名のウンコがはびこっているようなので、そいつらに対する嫌がらせの意味を込めて日本語訳をすることにした。いいですか、国内の転売ヤーからは買わずに、海外で安く買いましょう為替相場や送料にもよるけども…。

本サイトの和訳の特徴は、もともとのルールブックに加えてヴァリアントルールと戦場カード、戦術カードの一覧も載せたものにしている。戦術カードについては特に問題はないが、戦場カードの「城」と「要塞」については注意点がある。BoardGameGeekに掲載されているカード画像は、陣形を確定させるために、「攻撃側」は4枚の部隊カードを置かなければならず、その場合に一番数値の高いカードが無視される、となっている。一方、製品の戦場カードでは、「防御側」にこの効果が適用されるとなっている。和訳で拝借した画像はGeekの画像だが、訳は製品のカードのテキストを基にしているため、食い違いが発生している。Geekのフォーラムでも話題になっていたが、「城」や「要塞」は防御側に有利に働くべきであって、「攻撃側」が4枚置く、というGeekの画像が正なのではないかと思う。もっとも、バトルラインはぎりぎりまで3枚を置かなくて済むことによるメリットもあるので、4枚置きが常に不利なわけではない。しかし、それを加味するならば、「防御側」が4枚置かなくてはならないが、その際に無視するカードは任意に選択できる、とした方がいいだろう。つまり、赤3、黄3、青1、緑3と置かれていたら、元のルールでは「ブタ」が確定してしまうが、このルールであれば、4枚目を置くことによって「スクエア」に変えることができるので、防御側が有利になる。もっとも、城や要塞における籠城戦では「陣形」が適用されるという考え方に違和感があるのは確かだが…

boardgamegeekのページは以下を参照。

boardgamegeek.com

和訳はこちら

*1:肖像画から判断するとリチャード3世(在位:1483-1485)。在位的には百年戦争には被っていないので、人選が謎。

*2:肖像画から判断するとシャルル5世(在位1364-1380)。賢明王と呼ばれ、百年戦争でも活躍したので、こちらは納得の人選だ。