ボードゲームの雑感「初めてのレガシー(ネタバレなし。そもそも読む価値があるかも怪しい)」

当ブログの更新が滞っている中、パレスチナが大変なことになっていたり、ジャニーズがマック赤坂の政党みたいな社名になっていたり、豪華絢爛でバラ色の外面を演出していた宝塚が、実は安達ケ原の鬼婆ばりの恐怖が支配する黒塚状態であったりと、おっさんにはもうついていけないくらい世の中の動きが早すぎる。

一方でボードゲーム界隈に目を向けると、リメイクやら続編やらメカニクスモリモリのどこかで見たような印象がぬぐえないもの、一時期の人狼並みに乱発されるマーダーミステリーばかりが目立つ印象で、世の中の動きと対照的に停滞気味の感がある。こういうときこそ過去の名作やら積んでいるゲームをプレイする絶好の機会である。

そこで白羽の矢が立ったのがイーオンズエンド。エラッタが修正された再販版を購入したままプレイする機会がなかったが、旅行先にまで持って行ってプレイしたところ、協力ゲームが嫌いなおれをしてオールタイムベスト10に食い込むほどの面白さであった(イーオンズエンドの面白さはすでに数多のサイトで紹介されているので、ここでは詳しく触れない)。すぐさま拡張セットを買い(ただし大拡張1の「終わりなき戦い」はすでに品薄で定価の2倍近い売値のため、今のところ様子見)、このネメシスにはこの遺物と呪文、こいつにはこの魔術師を、なんてことをやっていた。

ここでおれは一つの決断を迫られた。イーオンズエンドは背景となるストーリーがあって、それぞれの拡張シリーズでストーリーが進んでいくという、おっさん世代にわかりやすい説明をするならば「ビックリマン 天使vs悪魔」シリーズ方式をとっている(逆にわかりづらいかもしれない)。イーオンズエンドも今やどんどんシリーズが重ねられていて、2022年のkickstarterで33.5万ドル集めたプロジェクトでWave7となっている。つまり、ビックリマンでいうところの第7弾まで出ている、ということだ(こだわる)。

一応日本でよく知られたものは、

  • Wave1 イーオンズエンド(基本セット)、The Depths、The Nameless
  • Wave2 終わりなき戦い(大拡張1)、The Void、The Outer dark
  • Wave3 イーオンズエンドレガシー(大拡張2)、Buried Secrets
  • Wave4 The New Age(大拡張3)、Shattered Dreams、The Ancients、Into The Wild

あたりである。こうしたゲームは拡張が進むにつれてインフレ化していく宿命なので、個人的にはこのあたりまでプレイすればイーオンズエンドはもういいかな、という勝手な目論見がある。

ここで問題となるのがWave3のレガシーである。Exitのような謎解きモノは、そもそも1回のみのプレイであり、コンポーネントの破壊(加工?)が前提なので心置きなくやれるのだが、そうでないゲームで単純に後戻りできないようにカードを破ったりシールを貼ったりするのは嫌だな~と常々思っていた。その流れであらゆるレガシーゲーに背を向けていたのであった。が、その抵抗感をたやすく打ち破るほどイーオンズエンドは面白かった。かくしてイーオンズエンドがおれのはじめてのレガシー体験となったのである。

この記事の執筆時点(2023/11/22)時点で完全に終わっておらず、イーオンズエンドの世界観にどっぷりと浸かり、進撃の巨人よろしく絶滅寸前の人類を守る破孔魔術師として、迫りくるネメシスと夜な夜な死闘を繰り広げている。ところがここでもう一つレガシーの弱点が見えてきた。ここに来て頭をもたげてきたのは、キャンペーンを終わらせたくない、という気持ちである。これは面白いゲーム限定の話だとは思うが…ちなみにもう一度レガシーをやりたい、という人が多いからか、カードやシート、ステッカー類のみを収めたリセットパックも売っている(ただし日本語版はない)。

ネタバレがほぼない範囲で数少ない欠点にも触れておこう。まずは、ステッカーの粘着力が弱いということ。カードにステッカーを貼る作業があるのだが、一部のステッカーを重ねて貼るような指示がある。が、これがはがれやすい。このゲーム、ゲーム中は基本的にシャッフルしないが、ネメシスデッキはゲーム開始時にシャッフルしなくてはならない。そのときに貼ったステッカーが別のカードの裏に引っ付いてしまうという現象がよく起きる。これは地味に困る。

もうひとつの欠点は、やはりステッカーをめぐる欠点だが、こちらはかなり影響が大きいものである。カード類に貼り付けるステッカーは、事前にネタバレしないように厚紙でできた袋とじのようなシートに収められている。この厚紙に刻まれたミシン目にそって、皮を剥ぐようにビリビリと蓋を剥がして中身を取り出すようになっているのだが、ステッカーが厚紙にばっちり貼り付いており、肝心のステッカーの内容が確認できないということがしばしばあった。台紙からステッカーが勝手に剥がれて厚紙に貼り付いているのであればまだマシなのだが、違う。ステッカーから、糊が滲み出たか何かでステッカーの”表”が台紙とくっついているのだ。1つ目の欠点として挙げた”裏”の粘着力の弱さを考えれば噴飯ものである。仕方がないので英語のサイトで該当のステッカーの内容を確認し、手書きするハメになった。せめて厚紙の内側がツルツルまたはエンボス加工されていれば、こんなことは起きなかったろう。まあこのあたりは日本語版を扱っているアークライトに言えば交換対象にはなると思う。

イーオンズエンドレガシーについての不満点は上記の2点くらいで、総じて満足度は高い。もしかするとエンディングがクソという可能性も残されてはいるが、過程が楽しめたというだけで御の字であろう。イーオンズエンドをプレイした人ならば、必ずこのレガシーを楽しめると断言しよう。

破孔と言われたら、まず思い出すのはこれ。
ちなみに破孔魔術師が駆使できる破孔の数は最大4つである。
(画像は「北斗の拳」©武論尊原哲夫

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