ボードゲーム「海ゲー特集」

はてなブログ今週のお題「海」にあわせて、海ゲーをいくつか紹介したい。

Survive:Escape from Atlantis!(The Island)

沈みゆくアトランティスから探検家を逃がすゲーム。
各プレイヤーは10人の探検家コマを持っている。探検家コマの足裏にはそれぞれ脱出させたときの点数が書かれていて、初めに探検家コマを配置したあとは確認することができない。この探検家コマをアトランティスから安全な島へ退避させる。が、周辺の海には脱出用のボートを破壊するクジラ、海に落ちた探検家を食べてしまうサメ、その両方を兼ね備えた海竜がいて、容易に脱出はできない。
脱出用のボートは3人乗りで、他プレイヤーの探検家も相乗りできる。が、その場合ボートの操作権は多数決。ボートに乗りそびれたプレイヤーはクジラや海竜をボートに差し向けて邪魔をする。
アトランティスは標高の低い地形からどんどん沈むので(手番にひとつずつ地形タイルを取り除く)、探検家がいた場所が沈むと、その探検家は海に投げ出されてしまう。海に投げ出されても探検家は生きているが、移動力が極端におちてしまうこと、サメに襲われるリスクが高まることから、極めて厳しい状況におかれてしまうことは間違いない。

surviveのボード全景。

全景。黄色のタイルが低地、緑が森、灰色が山。この順番で島が沈んでいく。

ゲームの終了は、アトランティスがあらかた沈んだときに発生する海底火山の爆発によって引き起こされる。その時点で、脱出に成功した探検家に記載されている点数の合計が高いプレイヤーの勝利となる。

終了トリガーとなる海底火山の噴火タイル

終了トリガーとなる海底火山の噴火タイル。山タイルのいずれかがコレ。

探検家コマ

探検家コマの点数。1点から6点まである。

ときには点数の低い探検家コマを見殺しにしながら、他のプレイヤーと半分協力しつつ点数の高いコマを脱出させる(前述のように探検家コマの点数はゲームの初めにしか確認できないので、記憶力も必要)シビアなゲームであるが、発生するイベントが地形タイルのめくりとサイコロといった運要素が多いので、ワイワイ騒いで楽しめる佳作だ。
基本ゲームは4人まで。拡張を含めれば6人までプレイ可能。

 

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Key Largo

10日後に迫ったハリケーンの襲来までに、カリブ海に沈む船を探索し、獲得した金銀財宝をうまく売りさばいて金を稼ぐゲーム。
本ゲームの2大要素はチキンレースとバッティング。サルベージできる海は深度が浅・中・深の3種類あり、深いほど価値の高い財宝が眠っている。その分準備に手間がかかり、かつ巨大モンスターとの遭遇率が上がる。一応、事前に調査をすることができ、ある程度の危険度は把握できるものの、絶対ではないので、サルベージを行うか行わないかの決断が求められる。

Key Largoのボード全景

全景。サルベージできる箇所は浅、中、深それぞれ5か所ずつある。

1日は午前と午後に分かれていて、各プレイヤーは午前と午後にどの場所に行くのかを秘密裏に選んで同時に公開する。選択できる場所は、サルベージ、酒場、ダイビングショップ、マーケット、イルカショーの5カ所。それぞれの場所を選んだ時のアクションは、
サルベージ…沈没船の捜索
酒場…ダイバーのスカウト、沈没船に関する情報収集など
ダイビングショップ…サルベージに必要な銛、錘、潜水用チューブの購入
マーケット…手に入れた財宝の売却
イルカショー…バイトによる金銭収入、特殊効果カードの獲得(選択ルール)
となっている。ここでこのゲームのもう一つの要素であるバッティングが生きてくる。
どういうことかと言うと、他プレイヤーとバッティングすることで、必要コストや財宝の売却コストが変化するのだ。例えば酒場でのスカウトであれば、自分一人が酒場に行ったときは80ドル/人で雇えるのに、3人でバッティングすると、120ドル/人とふっかけられる(なんという資本主義…)。逆にバッティングする方が嬉しい場合もある。サルベージで手に入る財宝は道具、工芸品、黄金、宝石の4種類だが、このうち道具はバッティングすると買いたたかれてしまうが、工芸品はバッティングするほうが高く売れる(他の人間の持ち込み品と相対的に評価しているのかもしれん)。ちなみに黄金はバッティングしていても価値は変わらない。宝石はマーケットでは売れないが、ゲーム終了時の精算で高い価値となる。他の品物はゲーム終了時に価値が暴落するので、なんとか事前にマーケットで売っておきたい。
準備をしっかりすればサルベージのめくり運に依存しすぎることはなく、反対に運を天にまかせていち早く財宝を手にすることもできる、バランスの良いゲームだ。プレイ人数は3~5人だが、バッティングがキモなので、4人か5人でやりたいところだ。

場所選択カード

場所の選択カード。バッティング時の価格の情報もある。

ダイバーとその装備

ダイバーの装備。深い場所をサルベージするにはホースが必要。銛があれば怪物に遭遇しても安心。錘はサルベージ時のカード獲得枚数を増やす。

怪物カード

深い場所ほどコイツがでやすい。

ショップのバッティング時の価格表

3人以上でバッティングすると最悪。

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 Maka Bana

南国のリゾートに小屋を建てて、リゾートの名士となるためのポイントを稼ぐゲーム。
小屋の建設予定地は、「海岸」「地形」「模様」の3種類で特定できる。各プレイヤーは小屋を建てたい場所を示す「海岸」「地形」「模様」カードを伏せて出し、一斉に1枚ずつ公開する(どのカードを公開するかは任意)。その段階で各プレイヤーがどこに小屋を建てるつもりなのかが、だいたい把握できるわけだが、ここで各プレイヤーはティキを置くことができる。ティキはポリネシアの神のことで、他のティキが置かれたスペースには小屋を建てることができなくなる。つまり、建設予定地の1枚目が公開された時点で、他のプレイヤーがどこに小屋を建てるかの予想をし、小屋を建てさせないようにティキを置いて邪魔をするのだ。その後、残りのカードを公開し、建設予定地にティキが置かれていなければ、無事に小屋を建てることができる。小屋は連続して建てると高得点で、またその海岸でマジョリティであればゲーム終了時に追加得点がある。そういった情報もまた、小屋の建設予定地を絞り込む手がかりになる。

makabana全景

全景。場所を特定できる3枚を選び、そのうち一枚を公開したところ。ここで各プレイヤーはどこにティキを置いて小屋の建設を邪魔するかを決める。

カードによる建設場所の確定

左から海岸(Coquito)、地形(砂浜)、模様(うずまき)。これで小屋を建てる場所が決まる。

中には不届きな者もいて、自分で小屋を建てるのではなく、他のプレイヤーの建てた小屋の外装をペンキで塗り替え、自分の小屋にしてしまう者もいる。、先ほどの「海岸」「地形」「模様」に加えて「ペンキカード」を出すことでターゲットとする小屋の塗り替えができる。塗り替えられるのが嫌な場合(いつだってそうだ)は、塗り替えを阻止したい小屋の隣にティキを置くことで防ぐことができる。

ティキと塗り替えカード

ティキ(左)と小屋の塗り替えカード(右)

腹の探りあい、相手の裏をかく心理戦、エリアマジョリティを目指す戦略など、熱い要素が詰まったゲームだ。旧版はプレイ人数が5人までだったが、新版は6人までプレイ可能なのも良い。

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ラニアペドロ

フラフラ動き回るペドロを海から落ちないようにするゲーム。ペドロが海から出てしまったら、手持ちの石で足場を作ってやらなくてはならない。

石?

石である。実際のコンポーネントもリアル石。そのため、ゲームの内容物に比して箱はずっしりと重い。これもMaka Banaと同じように、事前にペドロの行動を決めるカードを決めて自分の前に伏せて置く。その後でカードを一斉に公開し、スタートプレイヤーが選んだカードから順番にペドロを動かす。スタートプレイヤーだけはペドロがどこに動くかを知っているが、2番目のプレイヤーからは、ペドロがどのように動くかを予想し、陸地や足場から落ちないようにカードを選択しなければならない。
はじめはペドロは島にいるが、カードによる移動の結果、海に出てしまったら手持ちの石を消費して足場を作る。足場が作れなかったり、移動の過程でピラニアのいるマスに入ってしまったら、そのプレイヤーが1アウト。2アウトしたプレイヤーが出た時点でゲーム終了。
誰もアウトしなかった場合は、スタートプレイヤーが移動して、再度同じようにカードを伏せて出す。その際に、先ほど使ったカードは使うことはできない。誰かがアウトしたら、手持ちの残りカードに応じて、足場の石の配給がある。移動力が小さい有利なカードを手元に残していれば(つまり移動力の大きいカードを使ってペドロを大胆に動かしていれば)、もらえる石の数も多い。

ピラニアペドロ全景

全景。白いのが足場の石。ボードの上下左右には4種類の絵のカードがあり、移動カードによってどの方向に移動するかがわかるようになっている。ちなみにペドロのコマは足場の石をまたげるような造形だ。どのみち彼は助からないのだが。

足場となった石は、ゲームが進んでも取り除かれないので、石を使わなくてもペドロが動ける範囲が多くなっていくが、その分移動力の大きいカードがバンバン出てきて、酔っぱらいのように制御が利かなくなっていくのが楽しい。「なんでそんな動きすんの!」とか「うわー、そうきたか!」といった悲鳴が飛び交うパーティーゲーム。最近新版が発売されたが、どうやらリアル石ではなくなってしまったそうな。ざんねん。
…ここまで書いて気が付いたが、ピラニアがいるってことは海ゲーじゃなくて河ゲーじゃないか。

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おしまい。