ボードゲームの雑感「征服王」

かつてフジテレビの深夜テレビがクソ面白かった時代に、ボードゲームをメインにした番組が放送されていた。「ゲーム名人戦」ではスコットランドヤードやドラダ、ピクショナリー等がとりあげられていたし(特別版に至ってはディプロマシーを7人フルプレイである)、「たほいや」では広辞苑第4版を使ったディクショナリーがプレイされ、各界の若手からベテランまでが言葉の世界で騙し合う、知的エンターテインメント番組として完璧だった(「そして言葉の数だけゲームは続く」というフレーズもセンスの塊だったと言っていい)。
両番組とも、ゲーム研究者として(その筋では)よく知られる高橋浩徳氏がゲーム監修、協力をしており、ゲームの見せ方としても、単純なプレイ動画ではなく、面白さが伝わるような構成となっていた。

んで、その中でも今猛烈に再放送してほしい番組がある。「征服王」という番組だ。
詳しい説明はwikipediaにでも譲ることとするが、ゲーム自体は2人対戦(番組では指揮官&参謀が2人1組だったが、チーム戦をしているわけではない)で一定の金額で雇った軍隊を盤上に配置し、ターン制でコマを動かすもの。コマとコマがぶつかると戦闘が発生(任意)し、コマの戦闘力、コマの向き、地形補正の適用後にサイコロ(神がサイを振る、という設定である)で勝敗を決する。
ちなみに盤上のコマを動かすと、両プレイヤーの眼下のフィールドにいる、コマに扮した人間がその動き通りに移動する。さながら人間チェスである。
ゲームとしてはそこまで画期的なものではないが、世界観の作りこみが素晴らしく、大げさな演出と相まって毎週ワクワクしながら見ていたものだ。

バルバリア大陸の覇権を競うスパルキア軍とガイアス軍の戦争を背景としているため、スパルキア軍が勝利すれば、ガイアス軍本拠地に近い場所が戦場となり、ガイアス軍が勝利すればその逆で、毎週対戦するフィールドが違う。途中からガイアス軍側が連続して勝利し、かなり優勢だったのだが、ちょうど見逃した最終回の少し前で一気にスパルキア軍が盛り返し、最終決戦でそのままスパルキア軍が勝利、ガイアス軍滅亡となった。1回の見逃しを後悔したのは、この征服王と青いブリンクの最終回くらいである。
先ほどゲームとしてはそこまで画期的なものではないと述べたが、運要素がやや強いものの、地形に応じたユニット構成、伏兵の配置、共同攻撃などの考えどころがあり、かつ低年齢でもプレイが可能であることから、意外と間口が広いと思う。よりゲーム性を高めるのであれば、ダイスによる勝敗判定ではなく、双方同じ数字カードで構成された手札を使ってコマの戦闘力に上乗せして判定をする方式にすればいいだろう。
クラウドファウンディングでゲーム本体、DVD、設定資料集、戦場マップ集がセットになったプロジェクトを立ち上げる猛者はいないものか。フジテレビの版権問題が最大の壁なんだろうが…

ここから先は余談(本ブログ自体が余談の塊なのは措いておく)。この番組もゲームの監修を高橋浩徳氏が行っているが、ゲームのメインデザイナーは工藤雅之氏である。同姓同名の別人でなければ、某悪ライト社でドミニオンのパクリゲーやルプスブルグのパクリゲー、エラッタだらけのクソ和訳を繰り出す人物と同一人物ということになる。

なお、You Tubeにはレギュラー放送最終回の後に放映されたスペシャル版がフルでアップロードされている。興味がある方はご鑑賞あれ。

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