ボードゲーム雑感「我が人生におけるボードゲーム史(中学~高校時代まで)」

前回は物心つく頃から小学生までのボードゲーム事情について説明したので、今回はその第二回目、中学から高校にかけてのボードゲーム事情を話そう。

中学に入ったときに、一冊の本と出会い、一つの転機が訪れた。

The Best Games'93 極楽ゲーム特集と銘打たれたムック本を兄が買ってきたのだ。内容としてはアナログゲームが半分、デジタルゲームが半分ではあったが(この書籍、当時の日本におけるボードゲームの事情を伝える資料として、別エントリーで採り上げる予定)、そこに特集されていたアナログゲームから受けたインパクトは大きかった。アクワイアに始まり、1830、シヴィライゼーション、アヴェカエサル、うさぎとハリネズミディプロマシー…トランプやウノ、今までやってきたものとは明らかに違った、洗練さを感じさせるゲームの情報にはじめて触れ、興奮した結果、さっそく次の日にクラスメイトを誘って、池袋のポストホビーを訪れたのだった。このときは定休日にあたってしまい、心が折られてしまったが、その2年後、彼とは修学旅行に持っていくゲームを探しに、再びポストホビーを訪れることになる。

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The Best Games'93の表紙。The Best Gamesは他に'94がある。

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ボードゲーマーへのアンケートトップ10はこんな感じ。草場氏もこの雑誌に寄稿している。

時期は忘れたが、同じ時期にはまっていたのが、テーブルトークRPG(以下TRPG)の「ソード・ワールド」だ。特にリプレイ第一部、いわゆる「スチャラカ冒険隊」の冒険譚が面白く、またプレイの様子が和気藹々としていて、何回読み返したかしれない。その流れで富士見書房の「○○コレクション」シリーズはほとんど読んだし、小説集もかなり集めた。一方で、一緒にプレイする友人を見つけることができず、実際にプレイせぬまま今に至っている。ちなみに知識の増えた今、この○○コレクションを見返してみると、首をかしげるような記述が散見されなくもない。

中学生時代はあまり友人の家でカードゲームやボードゲームに興じることはなくなったので、購入したゲームで記憶にあるのは、「O'NO99」「STUN」といったUNOに代表されるTOMYの定番カードゲームくらい。これらのゲームはUNOに同封されているTOMYのボードゲームカタログで面白そうと思ったもので、「O'NO99」は前回紹介した「ダイナマイト」の逆バージョン(カウントアップしていき、99になったらドボン)、「STUN」は変則的な坊主めくり(山札からカードを好きなだけめくり、カードに記載の玉が累計15個になったらコインを獲得、バーストカードかマイナスカードが出たらめくりの強制終了)である。

あー、忘れちゃいけないエピソードがあった。カタログを見てほしいと思ったゲームに、ヨーロピアンUNOがあった。今ではデザインやバージョン違いのゲームは珍しくもないが、当時は比較的珍しかったように思う(モノポリーのようなロングセラーを除く)。特にヨーロピアンUNOは紫色のパッケージでデザインもオシャレだった(通常版のWild draw4とただのWildのデザインが酷似しているのでよく間違えた)。たぶん、自慢したかったのだろう。当時はマラソン部に所属していて、放課後は近くの区民公園に移動、1.2キロのコースを5周することになっていたのだが、なぜかここにこのセットを持って行ったのだ。で、5周終わってから先にゴールしていたメンバーとその場でUNOをやりはじめた。顧問の教師は遅いメンバーについているので、まだゴール地点にはこないだろうと思っていたら、意外に早く帰ってきたためにバレ、ひっぱたかれた上にUNOを没収されてしまった。はかない命であった。後日返還もなされなかったので、その後ごみ箱の露と消えたのか、教師の家族に供されたのかはわからない。

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ヨーロピアンタイプのUNO。
画像引用元:https://item.mercari.com/jp/m51736877065/

中学3年の修学旅行のときに、先ほども触れたポストホビーで「ディテクティブ」というゲームを購入した(購入したのは友人だったかもしれない)。本の形をしたパッケージの中にカードが大量に入っていて、カードには性別(オカマもいる)、服の色、凶器などが別々の容疑者が描かれていて、重複はひとつもない。このうちそれぞれのプレイヤーは1枚、犯人カードとして持つ。自分の手番になったら、カードを1枚引いて、その特徴を読み上げる。次のプレイヤーは読み上げられた特徴と、自分の犯人カードに1つでも共通点があれば「あてはまっている」、1つも共通点がなければ「あてはまっているものはない」と回答する。この宣言は全員が聞くことができるので、誰か他の人の犯人がわかった時点で告発し、見事持っているカードを当てることができれば得点、という内容のゲームだ(ルールはうろ覚えなので間違っているかもしれない)。
修学旅行の行き先は京都で、行きの新幹線では4人で3回くらいプレイした。そこそこ面白かった記憶があるが、同じことの繰り返しなので、今だったら物足りなく感じるだろう。加えてプレイの見た目がひたすら地味なので、「なにそれ、面白そう」という評判を獲得するには至らなかった。

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ディテクティブ(株式会社プレイアベニュー)
画像引用元:https://aucview.aucfan.com/yahoo/q176829044/

既存のボードゲームやカードゲームとは別に、中学時代は自分でゲームをいくつか作っていた時期でもある。中でも仲間内で評判がよかったものが、サイコロを使うバトルロイヤルカードゲームだった。元ネタは、MSX-FANというパソコンゲーム雑誌に載っていた投稿プログラムの「MAGIC BATTLE」で、手番にはマジックカードを1枚引く、マジックカードを使用するのどちらかを行う。マジックカードは保持できるものと即座に効果を適用するものがある。マジックカードは基本的に相手にダメージを与えるものと自分のダメージを回復させるものの2種類で、ダメージはカードに記載の方法で算出する。例えばファイアのような弱いマジックであれば、指定したプレイヤーに6面ダイス1個の目(1D6)+3点のダメージを与える。強力なニュークリアというマジックであれば、2D6+12点を自分以外の全員に与える、といった具合だ。中には自爆するものもあったり、ダイス目だけに頼るもの(ランダムの範囲が大きい)、ほぼ固定ダメージのものなど、いろいろなバリエーションのカードがあった。
このゲームはもっぱら学習塾でプレイしていたが、マジックのネタを思いつけばその場でメモをし、カードを追加していた。カードサイズは名刺サイズで、初めは家にあった空名刺のカードを使っていたが、数が足りなくなってからは色のついた画用紙を切ってカードとしていた。これも運100パーセントに近いゲームではあるが、かなり盛り上がった。

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MSXのMAGIC BATTLEのプレイ画面。魔法を拾ったり使ったりすると、各プレイヤーのセリフが表示される。セリフは「乱暴」「嫌味」「パソ通」などが選べる。

もうひとつ記憶に残っているゲームは、修学旅行の夜を題材にしたゲームで、教師の見回りカードが出た時点で一番熟睡していたプレイヤーが勝利するもの。睡眠カードを出し、睡眠レベルが100に達すると熟睡状態となるが、その後の手番は飛ばされる。睡眠レベルを落とす攻撃カードの対象にはなり、ちょっとやそっとの攻撃にはびくともしないが、一定以上の攻撃を受けると睡眠レベルがゼロになる、という仕様だった。広い意味でのミルボーン系のゲームであると言えるが、ゲーム終了が突然現れる、という点が目新しいと(当時は)思っていた。今同じゲームを作るのであれば、見回りカードを3枚くらいにし、3枚そろった時点で終わりとすることで、ゲーム終了タイミングへの期待を増すようにするだろう。このゲームはプレイされることはなかった。

高校に入ると、そんなに積極的に友人とかかわるようなことがなく、部活が中心だったこともあったので、アナログゲームとしては休み時間中の大貧民か、週1回の芸術の授業時間(その週の課題を提出すればあとは自由時間なのだ)にやった麻雀くらいであろうか。夏合宿中、雨天で練習が中止の時に何となくみんなで始めたトランプのダウトが、協議ではなくガチで終了するという奇跡を目の当たりにしたくらいがハイライトであった。

ただ、ボードゲームのことを忘れたわけではなく、静かに熱が醸成されていたといってもよい。カプコンカタンを売り出したのもこの時期で、兄がぬかりなく購入していたのを知っている。我が家は4人家族であったが、4人でゲームをするまで仲が良くはなかったので(賭けマージャンはやっていた)、外でやっていたのであろう。また、兄との会話でボードゲーム面白いぜ、という話題になったこともあった。

次回は大学時代から独り暮らしを始めたころの話をしよう。

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