ボードゲームの雑感「π(パイ)について」

前回の記事からずいぶん間が空いてしまった。まあこれはよくあることなので気にしない。さて今回のテーマはπである。本webサイトではたびたびデータ処理やら統計的な話題を扱っているので、「円周率かー、確か今は3なんだよね?」と連想するかもしれないが、そういうアカデミックな意味でのπではなく、単純におっぱいの話だ。職場や衆人環視の中で本記事を読む人がいるかもしれないし、また成人向けコンテンツブロックされてしまうのも本意ではないので、胸の膨らみを示す言葉として、本記事ではπを使用する。

ボードゲームの議論において、海外のボードゲームと比して国内のボードゲームを忌避する風潮は確かに存在する。歴史が浅いということと、商業ベースに乗るものに比べ同人ゲームの比率が多い*1ことから、本当に面白いゲームであっても、同人ゲームであるがゆえに不当な評価を受けることがあるかもしれない。が、実はそれ以上に、手に取られることを拒否するかのごとく、パケ絵やゲームボード、カードにこれでもかとπを強調した萌え系娘のイラストが、結構な頻度で見受けられることも一因ではないかと考えている。
同人という文化自体、いわゆる“オタク”的な要素が含まれていて、さらに“萌え”的な要素とかなりの部分で重なっているので、必然と言えばその通りだ。しかしながら、漫画や小説ならいざしらず(これらのコンテンツは絵やイメージそのものが売りとなる)、ボードゲームというコンテンツにおいて露骨なπは不要である。
「πがあるからこそ注目され、売れるのだ」と吼える諸氏もいるかもしれないが、πの有り無しでバージョンが分けるような奇特なメーカーはいないため、実証データを取ることはできない。逆に「πがあるからこそ忌避され、機会損失につながっている」と言われた場合に反証しようがない。薄い本のように、その利用においてπが棒の角度θ及び曲げ合成kBに影響を及ぼすということであれば、πはプラスに働く*2が、ボードゲームに棒の角度θはまったく不要であり、特に子供とボードゲームを楽しみたいというようなファミリー層においては、πは絶対にマイナスに働くはずである。結論として「π=売上に貢献」と主張する奴には、πを求めたアルキメデスもびっくりだろう。むしろキメエんです*3

またπを必要以上に強調するのは、ひたすら男性側の目線にたったもので、女性からしてもπが強調されている要素あるボードゲームは手に取りにくいのではないだろうか。ちなみに奥さんに、「すげー面白いボードゲームだが、πが強調された萌え絵があるようなゲームはどう思うか?」と訪ねてみたところ、怖い目で「なに、そういうの買おうとしているの?」「いや、例えばの話。そうしたイラストの影響力を知りたい」「確実に萎える」というやりとりがあった。サンプル数は1でしかないが、それなりにオタク成分がある奥さんをして、その評価なわけだから、それなりに嫌悪感を示す女性は多そうだ。

一時期にくらべ、ゲームの内容で勝負しようというものが増え、エロ需要を見込んでπ絵を採用したゲームの比率は下がってきているとは感じるが、それでも一つ見かけるとかなり目立ち、イヤーな感じがするので、もし本当にπが欲しいのであれば、荒木飛呂彦先生のような絵柄にするか、参考画像の右側の姐御のように海外仕様の絵柄にすれば、悪目立ちすることなく、かつネタゲーにもなるのでおすすめだ。

参考画像「Golden Axe2(メガドライブ版)」
メーカーサイトによれば、右側のねーちゃんは"華麗”なる女闘士ティリス。
(画像引用元:http://vc.sega.jp/vc_axe2/

さて最後は別件。この記事で紹介したゲルツ先生の「TransatlanticII」が、「Crossing Oceans」という名前になって2022年10月31日にリリースされるそうだ。先行予約ができるサイトもあるようだ。パブリッシャーのPDVerlagのwebサイトには特に情報はないが、RioGrandeGamesの方には情報が出ているので、要チェックである。BGGや公式サイトにルールPDFがアップされることを楽しみにしている。

www.riograndegames.com

*1:ただし国外の、例えばドイツ国内において同人ゲームがどれくらい存在するのか、おれはその情報を持ち合わせていないため、この認識は間違っている可能性はある。

*2:もちろん個人の嗜好によってはπではなくsiriであったりunajiであったりするので一概には言えない。

*3:ここまでの話を見るとπが悪いのではなく萌え絵そのものがよくないのでは?という声も聞こえてきそうだ。確かにその通りだが、萌え絵の定義はおそらく厳密には不可能で、なんとなくのイメージはあっても人それぞれだろうから、ここではよりわかりやすいπに焦点をあてている。