ボードゲーム和訳「Gravwell 2nd Edition(グラブウェル第2版)」

和訳神のブログで紹介されていて、面白そうだと思ったのですぐに海外サイトから取り寄せた、「ピラニアペドロ」みたいな同時プロットのレースゲームだ。他のプレイヤーの行動が次のプレイヤーの行動を否応なしに決定してしまい、わーわーきゃーきゃー言うゲームは盛り上がらないわけがないだろう。一方で、真剣勝負を求める人には向かないゲームであろうとも思う。また、慣れれば問題ないと思うレベルだが、移動ルールが少しわかりづらい部分があるため、その処理がスムーズにできないとダレてしまう可能性もある。

訳にあたっては第2版のルールを基にしているが、ルールブックを作成する際に、基になるPDFファイルがメーカーサイトにもBGGにもアップされていなかったので、ルールブックを模した形で作成している。画像が歪んでいるのはうちのスキャナーがバカで使えないためにスマートフォンで撮った画像を使っているためである。他、ルールには直接関係ない部分ではあるが、フレーバーテキストである各宇宙船の訳、マジでよくわからんかったので、この部分は超適当だ。日本語版が発売されることがあれば、この部分だけはプロがどう訳すのかを見てみたい。フレーバーに近いという意味では、各宇宙船の固有能力カードの能力名も同じである。この記事でも言及している通り、素人翻訳の壁だ。

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ボードゲーム和訳「Battle Line:Medieval(バトルライン:中世版)」

バトルラインと言えばくにちーの2人用ゲームとして傑作の呼び声も高いタイトルで、もちろんすでに日本語版が作成されて広く流通しているため、いまさらこの場で詳しい紹介は不要だろう。このバトルラインだが、もともとのゲームではテーマがアレクサンドロスとダリウス、つまり古代ギリシャの末期におけるマケドニアとペルシアの戦いであり、カードのデザインもまたその時代を意識したものであった。そのテーマを中世版に移行したものが、このバトルライン:中世版である。モチーフとなっているのは英仏百年戦争時代で、アレクサンドロスとダリウスの代わりにイングランド*1とフランス王*2が登場している。それにあわせてカードのイラストがとても美麗なものに(そして結果として視認性が犠牲に)なっている。

追加要素としては、オリジナルが9つの戦場を表すのにフラッグ(コマ)を使っていたのに対し、このバージョンでは戦場カードとなっている点と、ヴァリアントルールではこの戦場カードによって各戦場で特殊な効果が発生する点、テーマにあわせた百年戦争というヴァリアントが存在する点だ。

このバージョンはアーチゲームズから日本語ルール添付、さらに製品内で欠落していたヴァリアントルールの説明も追加された状態で発売されていた(現在は絶版と思われる)。海外では普通に手に入るっぽいが、国内では転売ヤーという名のウンコがはびこっているようなので、そいつらに対する嫌がらせの意味を込めて日本語訳をすることにした。いいですか、国内の転売ヤーからは買わずに、海外で安く買いましょう為替相場や送料にもよるけども…。

本サイトの和訳の特徴は、もともとのルールブックに加えてヴァリアントルールと戦場カード、戦術カードの一覧も載せたものにしている。戦術カードについては特に問題はないが、戦場カードの「城」と「要塞」については注意点がある。BoardGameGeekに掲載されているカード画像は、陣形を確定させるために、「攻撃側」は4枚の部隊カードを置かなければならず、その場合に一番数値の高いカードが無視される、となっている。一方、製品の戦場カードでは、「防御側」にこの効果が適用されるとなっている。和訳で拝借した画像はGeekの画像だが、訳は製品のカードのテキストを基にしているため、食い違いが発生している。Geekのフォーラムでも話題になっていたが、「城」や「要塞」は防御側に有利に働くべきであって、「攻撃側」が4枚置く、というGeekの画像が正なのではないかと思う。もっとも、バトルラインはぎりぎりまで3枚を置かなくて済むことによるメリットもあるので、4枚置きが常に不利なわけではない。しかし、それを加味するならば、「防御側」が4枚置かなくてはならないが、その際に無視するカードは任意に選択できる、とした方がいいだろう。つまり、赤3、黄3、青1、緑3と置かれていたら、元のルールでは「ブタ」が確定してしまうが、このルールであれば、4枚目を置くことによって「スクエア」に変えることができるので、防御側が有利になる。もっとも、城や要塞における籠城戦では「陣形」が適用されるという考え方に違和感があるのは確かだが…

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*1:肖像画から判断するとリチャード3世(在位:1483-1485)。在位的には百年戦争には被っていないので、人選が謎。

*2:肖像画から判断するとシャルル5世(在位1364-1380)。賢明王と呼ばれ、百年戦争でも活躍したので、こちらは納得の人選だ。

ボードゲーム和訳「Northern Pacific(ノーザンパシフィック鉄道)」

おれは開拓モノが好きだ。そういった意味では、当ブログでも再三言及しているように、大航海時代が好きなのは未知の海(もちろんヨーロッパの観点で、だ。ああもうポリティカルコレクトネスめんどくせえ)に対して貧弱な装備で挑み、認識されている"世界”を開拓していくところに憧れがあるからだし、プエルトリコのように個人ボードで何もなかった土地が開拓によって発展していくのも楽しい(ただしカタンは嫌い)。大長編ドラえもん第2作の「のび太の宇宙開拓史」は、幼いときの一番のお気に入りであったし*1、夕方にNHKで放映していた大草原の小さな家の再放送を観ていた。その流れで絶版になって久しいウォルナットグローブ開拓史をBGGのGeekMarketを使ってまで入手したりもした。

アメリカ大陸の開拓を後押しした、アメリカ最初の大陸横断鉄道であるノーザンパシフィック鉄道も、その意味ではおれの好物の範疇に入る(西部開拓によって先住民が追われた事実も忘れてはならない…ポリティカルコレクトネスめんどk)。また、鉄道のない土地に線路を敷設する、というのは個人的に超どストライクなテーマなのである(これについてはボードゲームのネタがなくて、更新が滞ったときにでも扱うかもしれない)。

このノーザンパシフィック鉄道というゲームも6人までプレイでき、かつ短時間で終わるという貴重なゲームだ。鉄道経路となる都市を予想して前もって都市に投資をし、あるいは投資をした都市に向けて鉄道の線路を延ばす。秘匿情報のない完全公開型のゲームであり、思いっきり他プレイヤーとやりあうタイプなので、好みは分かれるかもしれないが、ゲームシステムにぬくぬくと守られたゲームよりも、こうしたゲームのほうがゲームのキレが感じられるのではないかと思う。何より完全公開で他人とやりあうゲームは、終わった後の感想戦が面白いのだ。

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*1:ちなみに成長するにつれて、海底鬼岩城(第4作)、鉄人兵団(第7作)が最上位となった。この2作は涙なしには観られない。

ボードゲーム和訳「Paris Connection(パリス・コネクション)」

「フランスの『パリ』ってよォ…英語では『パリスParis』って言うんだが、みんなはフランス語どおり『パリ』って発音して呼ぶ。でも『ヴェネツィア』はみんな『ベニス』って英語で呼ぶんだよォ~~。『ベニスの商人』とか『ベニスに死す』とかよォ~。なんで『ヴェネツィアに死す』ってタイトルじゃあねえーんだよォオオォオオーッ。それって納得いくかァ~~おい?オレはぜーんぜん納得いかねえ…なめてんのかァーーこのオレをッ!イタリア語で呼べ!イタリア語で!チクショオーームカつくんだよ!コケにしやがって!ボケがッ!」(ギアッチョ氏談)

ギアッチョ氏の主張
(引用:ジョジョの奇妙な冒険荒木飛呂彦大先生))

というわけで、比較的マイナーと思われるParis Connection(ギアッチョの想いを汲んで、当サイトではパリス・コネクションとルビを振ることにします)の和訳である。

最近のゲームは4人までのゲームが非常に多い中で、6人までプレイできることに加えてプレイ時間が短いという本ゲームは大変貴重。ルールも単純で、プレイヤー同士の読み合いも面白いこのゲームなので、布教の意味を込めて和訳してみた。とはいえ入手が若干困難なので、個人輸入等に抵抗がない人は、海外のサイトを覗いてみよう。

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Queen GamesのPDFルールは、構成が統一されていて助かる。一方で正方形の箱にあわせたルールブックなので、印刷すると上下の余白が気になる。

ボードゲーム和訳「Crossing Oceans(Transatlantic II)」

ついにゲルツ先生の「Crossing Oceans(旧題:Transatlantic II)」のルールが公式ページとBGGで公開されたので、仕事そっちのけで和訳。BGGのファイルはPDFからうまくテキストや画像要素が抽出できなかったので、和訳のベースは公式ページのファイルを使用しており、それゆえにセットアップについては別冊となっている。

www.pd-verlag.de

なお、本作は「Transatlantic」のリメイクなので、「Transatlantic」を持っている人向けのアップグレードキットも販売されるようなので、要チェックだ。

ロンデルのシステムやプレイヤーボード上にトークンを置いて、それが得点の掛け算の要素になるなど、THE Gerdtsなので、NavegadorやConcordiaといったゲームをプレイしたことがあれば、ゲームの方針は立てやすいだろう。もとのTransatlanticが未プレイなので、ゲームバランスはわからないが、丁寧にディベロップをするゲルツ先生だから、そこまで不安はない。

和訳はこちら、初期セットアップはこちら

例によって荒削りなので、間違い等があればご連絡ください。ま、そのうち日本語版が販売されて和訳需要はなくなるかもしれんが、原語依存がほぼゼロなので、輸入してもよいと思う。

 

(2022/10/4追記)

ゲーム終了時の事例が何故か未訳状態だったので修正したものを再アップ。ちなみにゲーム進行(GAME TURN)のところも英語が残っているが、面倒なのでそのまま。

(2022/10/12追記)

ロンデルアクションの石炭(Coal)がコピペミスで石炭(Fleet)になってたのを修正。

ボードゲームの雑感「π(パイ)について」

前回の記事からずいぶん間が空いてしまった。まあこれはよくあることなので気にしない。さて今回のテーマはπである。本webサイトではたびたびデータ処理やら統計的な話題を扱っているので、「円周率かー、確か今は3なんだよね?」と連想するかもしれないが、そういうアカデミックな意味でのπではなく、単純におっぱいの話だ。職場や衆人環視の中で本記事を読む人がいるかもしれないし、また成人向けコンテンツブロックされてしまうのも本意ではないので、胸の膨らみを示す言葉として、本記事ではπを使用する。

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ボードゲームの雑感「とある書籍をめぐる騒動とデータ処理の基礎」

本当に面白いボードゲームと称した書籍に載ったゲームの評価について、SNSまわりでガヤガヤしていたらしい。おれはトゥイッターをやっていないので、リアルタイムでピーチクパーチクつぶやかれていた意見を見ていたわけではないし、また件の書籍を読んだわけでもないので、お気に入りのゲームの評価が低くて凹もうが評価の方法がクソだろうが知ったことではないのだが、この騒動を見るにつけて思ったこと、ただしこの騒動に関連する議論とはまったく違うことに対することについて述べていきたいと思う。

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