雑感「近年のタモリ倶楽部に関する考察」

久しぶりにボードゲームが絡まないブログエントリーである。そもそもブログエントリー自体も久しぶりなのであった。

子供が産まれてからここ2年ばかりタモリ倶楽部をリアルタイムで観る機会が激減したものの、ずっと録画をし続けており、また録画を観るのもサボっていたのだが、このほど100本を超える録画を2週間くらいかけて一気に試聴した。そこで感じたのは番組の劣化といくつかの番組の変化である。

まず一番初めに違和感を感じたのは、ナレーションだった。頭のナレーションは長年慣れ親しんだ武田広さんの声だったのだが、番組本編に入るとゴツゴツした声の男性に変わり、さらにゴワゴワした女性の声に変わった。武田さんの声は番組の緩い雰囲気に非常にマッチしていたのだが、急に硬い声と緩い雰囲気がぶつかりあってしまうような印象を受けてしまった。ずーっと視聴を続けていくうちに慣れてはきたが、やはり武田さんの柔らかさを求めてしまう自分がたまにいる。

次の違和感は次回予告の存在だ。これまでも鉄道企画等の続き物の場合は次回予告が入ることはあったが、エンディングの時間を使って次回予告を入れることは以前まではなかった。次回予告ではハイライトシーンが映るので、次回の流れがある程度わかってしまい、興醒めてしまうことが度々あり、迷惑である。エンディングのスタッフロールとメインテーマが流れる中できちんと最後にオチを持ってくる構成がよかったのに、その時間を削ってまで次回予告を入れる意味がわからない。そうした批判が寄せられたためかわからないが、2019年くらいから次回予告は本編終了後、CMを挟んでからスタッフロールと共に流されるようになり、強制的に次回予告を観せられる点よりは改善された。

三点目、これは明確な変更点というよりはおれの感覚値レベルの話ではあるが、司会やゲストにほぼ毎回お笑いタレントが出ているということ。以前から出てはいるが、近年ほどその出演が目立ってはいなかった。まあ雨後の筍のようにお笑い芸人が出てきているわけで、低予算番組としては安いギャラで使えるキャストというイメージなのかもしれないが*1、これについては個人的に非常にネガティブな評価をしている。理由はいくつかあるが、まず第一にタモリ倶楽部のようなテーマが特殊なバラエティーにおいて面白い発言ができるお笑い芸人がほとんどいないということ。だからタモリからいじられて発言するか、出演した一般人をいじるかでしか存在を主張できない。第二に、単純にでしゃばってうるさい。特にカズレーザーはうるさくて不快だ。タモリ倶楽部でなければそんなに目立たないだけに、番組の色とあっていない感がすごい。第三に、ニッチなテーマに乗っかろうとするだけの知識や教養、興味関心が薄い。若手芸人が多く、苦労が多かったためなのかもしれないが、引き出しが少なすぎて発言に面白みがない。これは第一の理由にも通じるだろう。

四点目は三点目と完全に負の相関関係にあるが、個性あふれる役者や普段バラエティではみないミュージシャン、作家、芸能関係のゲストがめっきり減った。山崎樹範なぎら健壱玉袋筋太郎松尾貴史渡辺祐近田春夫山田五郎堀部圭亮伊集院光やくみつる泉麻人(以上、敬称略)などは、司会やその他の出演者としてとてもいい塩梅で、彼らが出る回は基本当たり回であったものだ。その点今も継続して出演する機会が多いみうらじゅんはさすがである。

五点目は空耳アワーのヒット率。今現在(2020年8月)このコーナーは休止中だが*2、昔に比べて爆笑できるネタが減った気がする。常連投稿者ばかりになってしまったためかもしれないが、元番組ディレクターの「ビギン」氏が出演しなくなった影響が強いのではないかと思っている*3

全体として番組のパワーが落ちた印象があるのは確かだが、もともと民法を(というかテレビを)ほとんど見ないおれにしてみれば、十分に見る価値のあるクオリティを保っているとは思うので、ゆるりと続いて欲しい番組である。

*1:低予算番組ではあるが、タモリのギャラはいくらなのだろう…

*2:やはり歌詞や曲を確認するために利用していたCDレンタルショップ「ジャニス」の閉店はかなりの痛手だったのだろう。

*3:とはいえwikipediaによればビギンこと山元豊洋氏が番組を離れたのは2012年頃のようなので、かれこれ8年も経っている。