ボードゲームの雑感「KickstarterにおけるTable top gameの傾向」

前回は最近の新作ボードゲーム不感症について述べた。その中にあって、数少ない感じるポイントとして挙げたのがKickstarterであった。そういった事情で、少なからぬ頻度でKickstarterボードゲームKickstarter上のカテゴリではテーブルトップゲーム)をチェックしているわけだが、なんとなく感じた傾向について今回は記す。

1.フィギュアゲー

3Dプリンターの普及の影響を受けてか、はたまたメリケンのフィギュア好き(War of the ringを見よ)を当て込んでかわからないが、とにかく感じるのはフィギュアゲーの多さ。フィギュア9割、ゲーム1割みたいなゲームも多い。中には50mmなんて巨大なフィギュアが同梱されているものもある。片づけ面倒だっちゅーの。
ルーンバウンドなんかは台座部分にギミックがあったりするわけだが、Kickのフィギュアゲーはただただフィギュアなだけである。確かに造形はすばらしいと思うが、こちらはゲームがやりたいわけであって、フィギュアが欲しいわけではない。そりゃあパーティージョイシリーズでよくあった、キャラクターが描かれた紙をプラスチックの台座に挟んで立てるくらいならフィギュアを使ってくれとは思う。しかし、そんなもんは木製キューブやポーンで十分だ。ファミコン世代の想像力をなめるなよ。
ところがKickではこうしたフィギュアゲーのプロジェクト成功率が結構高い。みんなそんなにフィギュアが好きかね。

2.人は見た目が9割、Kickは見た目が9割9分

読んで字のごとくである。ビジュアルからしてキャッチーでないプロジェクトはハナから相手にされないと考えて間違いない。そりゃそうなんだが、そうなるとどうしてもシンプルなカードゲームは不利だ。中には斬新でプレイ感がまったく想像できないカードゲームもあったに違いないが、ビジュアルの壁に阻まれて闇に消えていったものも多いのではないだろうか。
ちなみにビジュアルが美麗というものの他に、ボードゲーム界隈では比較的著名なイラストレーターを起用しているか、というのもこれには含まれる。例えば今現在(2019/6/3)、プロジェクト実施中のThe One Hundred ToriiというゲームのイラストレーターはVincent Dutraitで、Rise of AugustusやMundus Novus、ルイス・クラーク探検隊等でおなじみであろう。余談ではあるが、このThe One Hundred Torii、キックしようと思ったが、対応人数、ソロゲー臭の強さ、にもかかわらず長考を誘発しそうなゲームなのでやめた。興味のある人もいるかもしれないので(ディスった後になんだが)、リンクを貼っておく。

www.kickstarter.com

3.テーブルトークRPGの多さ

ビジュアルを見て、これは面白そう、と思って初めの説明を読むとTRPGという記述があって萎えたことは一度や二度ではない。日本でも30年近く前にTRPGが流行った時期があったが、現在はそこまでの勢いはない(と思う)。海外ってそんなにTRPGが流行っているのかね。確かに汎用システムであるダンジョンズ&ドラゴンズ(以下DnDと略す)を土台にして、世界観だけ(とときどきフィギュア)を新たにしたプロジェクトも多いが、オリジナルシステムのものもいくつもある。が、考えてみてほしい。TRPGは、ゲームマスターとプレイヤーがそれぞれルールブックを持っていないとプレイに支障をきたすし、何より背景となる世界観が魅力的でなくてはならない。例えば国産RPGとして最も成功したと思われるソードワールドRPGについて言えば、基本ルールブックは文庫本1冊だ。上級ルールを含めても全部で3冊で事足りた(完全版の話ではない)。また、ドラゴンマガジン誌上での世界観の補完に加え、作家達によるシナリオ集やリプレイ、小説で世界観を広げていき、それが大きな魅力となっていた。複数のメディアによる展開によって間口が広かった点も普及に一役買ったに違いない。というわけで、Kick発のTRPGは、よほど優れていないとプレイされる機会すらないのではないかと心配してしまう。DnDなら少しはプレイされる機会もあるとは思うが…

他にもいろいろと思うことはあるのだが、長くなりそうなので、本テーマについてはまた気が向いたときにでも追記をすることにしよう。