ボードゲームの雑感「ボードゲームのレビューサイト考」

ボードゲームの情報を得たい場合に、最近はtwitterがトレンドになっているようだ。情報を拡散しやすいtwitterは企業側としても使いやすい媒体なのだろう。おれはtwitterをやっていないのでそうした情報にいち早く接することはなく、著名なボードゲームサイトに掲載されることで、はじめて接することになる。

新作情報については、最近のボードゲームへの食傷気味なスタンスから、あまり気にしていないが、リメイクや再販についての情報はかなり助かっている。

一方で、他サイトのゲームレビューについては、このサイトのポリシーでも述べているように、点数評価はあまり重視していない。むしろ気にしているのは、何人まで対応しているのか、所要時間はどれくらいか、そのゲームの雰囲気であったり、どういった人に向いているのかといった類の情報である。ある程度ボードゲームをプレイすれば、こうした情報があれば自分の趣味に合うか合わないかはすぐにわかる。とはいえレビュワーがそのゲームに否定的あるいは肯定的な見解を持っていると、良いところ、悪いところの記述バランスが偏ったりもするので、そういった点も加味して判断することになる。

…と、もっともらしいことを述べてみたが、一番大事なことは、実はそのレビュワーと好みが似ているかどうかである。好みが似ていれば、そのレビュワーが面白いと思ったものはだいたいハズレはない。
ただ、好みといっても注意点がある。それは「拡大再生産が好き」だとか「資源がカツカツになるのが好き」というようなレビュワーの自己評価は大して役に立たないということだ。一見分析的だが、自分の好みなぞ単一の尺度では測れるものではない。文明発展・拡大再生産が好きだからといって「Innovation(Carl Chudyk)」と「7Wonders(Antoine Bauza, Bruno Cathala)」が同列かと言われたら、決してそうではないだろうし、同じタイル配置ゲーの「Carcassonne(Klaus-Jürgen Wrede)」と「Entdecker(Klaus Teuber)」もまた然りだ。

好みが似ているかどうかを判断する手っ取り早い方法は、自分が好きなゲームを10個程度挙げて、そのレビュワーの評価とどれくらい似ているかを見ることだ。ほぼ一致しているのであれば、そのレビューは全面的に信用していいと思う(もちろんレビュー対象となったゲームのプレイ環境をきちんと考慮に入れたうえで)。

おれの感性と非常によくあっており、かつ読んでて楽しいサイトは次の通りだ。

ジョーコデルモンド

akio氏のサイト。ほぼほぼ好みが一致しているため、このサイトで採り上げられて評価されているゲームは、まず間違いなくおれの好みと一致する。数少ない例外はコンコルディア

The Board Game Laboratory(閉鎖)

COQ氏のサイト。こちらも好みが合っていたので、とても参考になった。文章も面白く、読んでて実に楽しい。閉鎖されてしまったのが残念だが、webアーカイブスで閲覧は可能。

海長とオビ湾のカジノロワイヤル(閉鎖?)

オビ湾氏のサイト。小箱の解説が充実しており、軽妙な解説、ドゥーム評議会と称するクローズドのゲーム会の様子が楽しい。2回ほどサイト移転をしているが、現在も閲覧できるのは初代のサイトのみ。

ひだりの灰色

ひだり氏のサイト。ゲームの進め方について比較的簡素な解説があり、その後で実プレイの様子が説明され、最後に良い点と悪い点についてコメントするスタイルが基本。特に実プレイの説明は結構細かいところまで記述されているので、勘のいい人が読むと、そのゲームの勝ち筋のヒントが見えてしまうんじゃあないかと思う。

今日もプレイミス

いわずと知れた和訳神のサイト。どちらかというとレビューではなく、ボードゲーム合宿の記事で扱われているボードゲームやエッセンの新作記事を参考にしている。歯切れのいい物言いも共感できる。

次に、これは合わないな…というサイトについてもついでに採り上げておく。ファンがいた場合について不愉快になるかもしれないので、サイト名は伏せておく。

メビウスゲームズでよく遊んでいる記事があがっているサイト

少なすぎるルール説明、ざっくりとしたプレイ内容、基準がよくわからない5段階評価と、「そういうゲームがあるのね」ということ以外何も情報が入ってこないという印象しかない。管理者が女性なので(これで9割がたサイトが特定できたかもしれん)、女性としての感性が見えるかというと、そうでもなかったりする。それであればジョーコデルモンドのakio氏の奥さんのコメントの方が役に立つ。

石ノ森章太郎の「チクタク大冒険」の登場人物を彷彿とさせるサイト

詳細なルール説明とレビュー、3段階評価を基本とするサイト。ルール説明とレビューは非常に参考になるが、評価に関してはまったく感性が合わない。まあ管理人の評価のポリシー説明を読めば、超絶ざっくりなので、さもありなんという感じはする。

安倍晋三の嫁っぽい名前の管理者がレビューしているサイト

ゲームの開封とレビューが主体のサイト。とにかく文章のテイストが合わないので、読むのが大変苦痛。ネカマを装っているように見えるのが原因だろうか?開封レポートも卓上遊戯の冒険(管理人はサトウハヤト氏)のパクリのようで嫌い。元なんとかかんとかという肩書も、だから何という気にしかならない。レビューの随所に職業ならではの分析が見えたり、論文のように系統立てて説明し、参考文献もきちんと書く精神科医のボードゲーム日記というサイトとは対照的である。精神科医とカウンセラー(ほぼ答えを言ってしまった)という国家資格と民間資格の差がこのあたりにも表れているのかもしれない。

Memorandum de tabula ludos

サイト名称を秘すためラテン語にした(隠す気がないと思われてもしかたない)。このサイトは写真一枚と10段階評価、ルール説明すら徹底的にそぎ落とし、独り言のようなコメントで占めるというストロングスタイル。もっとも、プレイしたボードゲームの覚書というサイト名称にふさわしく、本人のための覚書なので、写真以外にほとんどボードゲームの情報がつかめないとか、ゴルゴばりに3点リーダが多いとか言ったことについては、外部から文句を言う筋合いではないのだろう。おれは記述の内容についてはほとんど参考にしていないが、新旧いろいろなジャンルのボードゲームが紹介されているので、たまに掘り出し物の発見がある点は良い。

他、もう2、3サイト挙げることができるが、こればかりは本当に人それぞれなので、この辺でやめよう。本サイトにしたって、ある程度の普遍性は持たせようと思ったところで合わない人は合わないのだ。その代わり、現時点(2020年3月)で自分がベストと思う知名度が高いゲームを10個挙げてこの項の結びとしよう(アルファベット順)。

基本的にゲルツ最高、ルチアーニ兄貴ウェーイだった。
ゲームを10個挙げてみて思ったが、ベストゲームを単純に10個挙げるよりも、重量級、中・軽量級でそれぞれ10個選んだ方がいいかもしれん。